地震 「東南海」「三河」の実態 岩手の研究者が本に(毎日新聞)

 太平洋戦争末期、軍需工場の被災が露見するのを恐れた軍部の圧力でほとんど報じられなかった「東南海地震」と「三河地震」の被害実態を発掘した「太平洋戦争史秘録 隠された大震災」を、岩手県大船渡市の地震津波史研究家、山下文男さん(86)が出版した。東海地方を襲った大地震により、勤労動員の学徒らが犠牲になったほか、隠ぺいで救援が遅れ、被害を拡大させていた実態を記した。

 東南海地震は44年12月7日、紀伊半島沖で発生。規模を表すマグニチュード(M)は7・9で、犠牲者は1200人以上。翌月の45年1月13日には三河湾が震源の三河地震(M6・8)が起き、約2300人が死亡した。

 山下さんは、明治三陸大津波(1896年)で祖母やおばを失い、自らも1933年の三陸沖地震に伴う津波を経験。40歳代のころから津波や地震の災害史を独自に調べ、その中で大戦中の両地震が当時、ほとんど報道されていないことに気付いた。東海地方は航空機工場など軍事施設が多く、軍部が報道管制を敷いたためと分かり、現地に10回以上通い、資料を調べたり、体験者の話を聞いた。

 当時、軍部の情報管理は徹底し、新聞記者に現地の様子を語った調査団長が逮捕されたり、孤立した被災地の救援が遅れた。工場の倒壊で動員学徒が圧死しても、軍部は遺体を郷里に返すことすら許さなかったという。

 三沢飛行場(青森県)で兵役に就いた経験を持つ山下さんは「14、15歳の子たちが仲間の遺体を焼いたそうで、あまりの非人間性に涙が出た。地震は天災だが、戦争という人災で被害が大きくなった。戦争の悲惨さ愚かさを伝えたい」と話す。

 東北大学出版会発行。2100円(税込み)。【西川拓】

【関連ニュース】
お別れの会:吉村茂夫さん=2月12日、大阪市のホテルで
政策:ハイチ支援方針を確認−−友好議員連
お別れの会:吉村茂夫さん=09年12月9日死去
LRT:堺市と南海電鉄、整備中止に合意 「阪堺公有化も白紙に」
住み替え支援:南海電鉄“けん引” 高齢化の沿線ニュータウン、子育て世代に賃貸仲介

<陸山会土地購入>収支報告書知らぬ…大久保容疑者供述変更(毎日新聞)
マンション協力金 不在所有者の負担認める 最高裁判決(毎日新聞)
ハイチ大地震 復興支援へ陸自施設部隊派遣(産経新聞)
留学生 長期の外国人生徒数、初の減少 08年度(毎日新聞)
<ハイチ大地震>現地で活動、熊谷さん帰国「水と食糧必要」(毎日新聞)
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。